和歌山 太地町 イルカ漁社会問題について

回答者 太地町教育委員会 教育長 北 洋司氏

 平成21年9月14日(月)に、太地町役場にお電話をお掛けいたし関西商誠会の身分で今回のイルカ問題を聞きましたところ、安易にはお答えできないような感じを受けました。なぜかというとそれは、過去にマスコミに色々と取材を受けた折にお話をしたことが最終の記事になると本質の話とは違い、結局太地町が不利になるような記事になり町民は痛く傷ついた経緯があるので、お話はできませんとのことでした。

 そこで、我々の会のメンバーは、日本の食文化を継承している太地町やら同様の他の地域があまりにも悪いイメージ゛で社会的に見られ扱われているのに、同じ食を通じて関係している者として非常に憤りを感じており、そこで我々の出来ることは太地町の方々は当事者で何を言っても不利になられるでしょうから、おこがましいですが何とか真相をお聞きいたし、身近な人々に間違って伝わっているところだとか誤解のある箇所を解いて日本古来の伝承されてきた食文化を私どもの会を通じて、少しでも世間にアピールしていければと思いお話をお伺いしたいと申し上げました。そして、その趣旨にご理解して頂き、すぐに教育委員会の北教育長が電話口に出てこられましたのでお話をお伺い致し、私の主観も合わせまして次のようにご報告申し上げます。

 今、アメリカをはじめオーストラリアで社会的な問題になっているイルカ漁は、過激で有名なシーシェパード並びにグリーンピースによる盗撮で世に広まったものです。彼らはとにかくクジラを殺すのは野蛮極まりないという考え方で、今回も最初は中立の立場で撮影報道をするという約束だったのが、途中でそうではないと感じ、拒否したところ盗撮されてしまいました。彼らの思想は鯨やイルカは人間が感じる癒しの対象で、その命を奪い食料にするというのはもってのほかだと言っています。これには大きく宗教観も影響しており、彼らは一神教でこれだけは良くて他はだめだと考えますが日本人は多神教で山にも海にも森にも林にもどこにでも恵みを頂ける神が存在しており、今回の件も古くから地元では伝承されているイルカの肉として地元民の貴重な栄養源になっております。そして、その恵みを忘れず常に感謝の念を持ってかけがえのない命を頂くのだから“いただきます”と手をあわせるのが日本人です。しかし、近年はこの国でも衣食足りて礼節を知るの言葉もむなしく日本人でも感謝の念を抱くこともなく、すべての食は生命の犠牲のうえに成り立っていることを忘れて、お金さえ出せば空腹を満たす食べ物が身近に手に入るようになってしまった昨今、今回のニュースを見ても西洋人と同じく野蛮で違法行為のごとく論じる者も多いと聞きます。太地町はもともと昔より狩猟が生活の基本となり今日まで生計を立ててきた地域であり、どこのだれよりも命の重みを分かっている人たちです。これは、この地域の人が生きていくための宿命であり神より授かった命を頂く尊い行いと思います。それと現実問題として、我々漁民は日本という法治国家のなかで法を順守しており、なにも違法行為で漁を行っているわけではありません。そこのところを間違えないでください。

 オーストラリアの先住民のアボリジニ族はジュゴンを食料にしています。オーストラリア政府もその食用利用を認めており、その反面、他国の捕鯨に関してはその食用利用を厳しく非難しています。それぞれの立場でその事だけを是非する前に、人間として文化としてその地域では昔から生きていくための行為であれば、生物により数を制限してでも狩猟を認めるのが先進国の務めであり、これを一部の知識人がとやかく言うのは人種差別に値する事ではないでしょうか。だが今はそれを言うとまた、悪く取り上げられ町民のイメージダウンに繋がるので静観しております。

 最後に水銀の問題も大きく取り上げられていますが、この太地町で鯨やイルカ肉を食べて水俣病になったという例は一例もありませんし、何を根拠に騒ぎ立てているのか理解に苦しみます。現在は専門の調査チームが入り検証しておりますので、もうすぐに調査結果がでると思われます。その時に合わせてお話すべきことはお話するようにしていきたいと考えております。